Interview
Interview:播戸竜二×清武弘嗣

播戸:サッカーって性格がプレーに影響する部分って少なからずあると思うんよ。例えば真司なら、登録はMFやけど、僕はFWのメンタルを持った選手だと思う。実際、真司はGKと1対1の状況になった時に、おそらく僕が横にいたとしてもパスを出さずに自分でシュートを狙いにいくと思うしね。でも、キヨはたぶん「パスを出さなアカン」という強迫観念からではなく、ごく自然にパスを選択する。もちろん、そこでゴールを選んでも間違いではないけどね。でも、それがキヨの“個性”であり、そこを評価されて代表にも選出され、海外移籍も実現できた。だからこそ、僕はその個性を大事にして欲しい。

清武:そう言ってもらえるのは凄く嬉しいです。でも、海外ってある意味、エゴイストの塊だって聞くじゃないですか? 誰もが「俺が、俺が」って自己主張をする。そういう中での自分のスタイルってどうなんだろうって思うところも正直ある。

播戸:言えるのは、「俺が、俺が」っていう選手だけでチームは絶対にできないということ。バルセロナのイニエスタやシャビが評価されていることがそれを証明してるやん? あれだけ能力の高い選手が、チームのために走り、プレーしているから、彼らは評価を受けている。そう考えても、僕は「俺が、俺が」の世界にもキヨが活きる場所は絶対にあると思う。繰り返しになるけど、キヨの良さはチームのために走ること、パスを繋ぐこと、チームのためにプレーすること。それをしながらゴールを狙うのがキヨで、ゴールを最初から狙うプレーはキヨじゃない。

清武:確かに、昨シーズンも、自分でゴールを狙えるシーンでもパスを選ぶことが結構ありましたしね。例えば去年の代表戦で本田圭祐さんに出したパスも、他の選手なら自分でシュートを打っていたかも知れないし、周りからは「なんで自分で打たなかったの?」って聞かれたけど、僕にはシュートの選択は最初からなかった。っていうか、最近の試合では敢えて無理矢理シュートを打とうとしたこともあったけど、結局決まらんしね。そう考えても、やっぱりゴールを一番に狙うプレーは自分らしくない。

播戸:もちろん、その中で「俺が」と思うところはあってもいいんよ。例えば、今季のJ1リーグ、第5節の大宮アルディージャ戦も自分で獲得したPKを自分で蹴りにいったやん? ああいう強い姿勢を見せるのも大事やと思う。でも、試合中、ずっとそれをやりすぎたら周りも「なんでやねん!」ってなるし、キヨ自身もバランスを崩すと思う。


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